ぷっぷく工房

mugenとゲームとイラストをまったりと綴るブログです。

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つづら杯決勝戦~決戦編その2~

こんにちは、管理人のつづらです。

真の姿を現し、驚異的な力で、アネル達を圧倒した
カオス。

迫りくるタイムリミットの中、傷つき倒れたアネル達は、
どう動くのか・・・?

そして、命消えゆくオーガストが語った己が目的とは・・・!
(願わくば、脳内BGMは『君は僕に似ている』を・・・!)

『激闘編』、スタートです!!



【崩壊した大会会場】

アネル:く・・・そ・・・!

笑い声を残し、カオスが消えた虚空を睨みながら、
アネルが地面を叩く。

ゾディアック:・・・よもや、奴があれほどの力を持っていたとは、
       【宝珠】とやらの力・・・、侮れんな。
       ・・・しかし、どうするアネル?
       我らに、次元を超えるような力はない・・・。
       このままでは・・・。

アネル:・・・分かっている、分かっているんだ、
     そんな事は・・・!!

悔しさを滲ませるアネル。

ナコルル:アネルさん・・・。

アネル:どうする・・・、どうすれば・・・いい?
     今の私達に、何が出来る・・・?

途方に暮れる一同・・・。

オーガスト:・・・一つだけ、方法が・・・あるさ。
       はあ・・・はあ・・・。

オーガストが、息も絶え絶えにつぶやく。

アネル:!?

ナコルル:オーガストさん!!

駆け寄るナコルル。

オーガスト:・・・あたし・・・の、デバイス・・・なら、
       次元の・・・門を・・・開ける・・・。
       うっ・・・、ごふ・・・!!

ナコルル:オーガストさん、それ以上、しゃべらないで!!

アネル:・・・何故、あの時、私達を助けた?

オーガスト:・・・べっ、別に・・・助けた・・・訳じゃ・・・ない。
       ただ・・・、他人に・・・指図される・・・のが、
       いや・・・だった・・・だけさ。 はあ・・・はあ。
       くそ・・・、お前を・・・倒すための・・・、
       とって・・・おきだった・・・のに・・・な。

ナコルル:・・・オーガストさん。

オーガスト:とに・・・かく、あたし・・・なら、お前・・・達を
       あいつの・・・いる・・・場所へ、連れて・・・いける。
       ただし・・・、一つ・・・だけ、条件が・・・ある。

アネル:なんだ、条件とは・・・?

食い下がるアネルを見つつ、オーガストは不敵に笑う。

オーガスト:・・・土下座しな・・・、アネル。
       みじめに・・・頭を・・・下げて、
       い・・・命乞い・・・して・・・みろよ。

ナコルル:!?

ゾディアック:貴様・・・、この期に及んで、まだ!

オーガスト:・・・助け・・・たいんだろ。
       あいつら・・・を。

アネル:・・・分かった。
     そんな事でいいなら。

ナコルル:アネルさん!

ゾディアック:アネル!

オーガストの目の前で、膝をつくアネル。
そして・・・。

アネル:頼む・・・みんなを・・・。

がしっ・・・!!

頭を下げようとするアネルをナコルルが止める。

アネル:ナコルル・・・!?

ナコルル:・・・もう、もうやめて下さい!
      オーガストさん!!
      自分から、憎まれ役を演じようとするのは!!

オーガスト:・・・なにを・・・言って。
       あた・・・しは、もと・・・もと・・・。

ナコルル:いいえ!! いいえ・・・!!
      あなたは、違う・・・!!
      あなたは、リアフィーユさんもリムルルも、
      助けようとしていた・・・!!

オーガスト:!!

ナコルル:・・・会場だってそう、こんなにも崩壊していると
      いうのに、観客席は、ほとんど無傷です!
      あなたは、いかなる時でも、被害が広がらないよう
      障壁を展開していた!
      あなたは・・・、あなたは・・・!

ナコルルの目から、大粒の涙が零れ落ちる。

オーガスト:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

虚空を見つめるオーガスト。
嘆息し、静かに目を閉じる。

オーガスト:・・・お見通し・・・か。
       これ・・・だから、お姫・・・様は。

アネル:オーガスト・・・。

オーガスト:・・・お前が・・・、大嫌い・・・だった。
       同じ・・・紛い物で・・・ありながら・・・、
       あたしに・・・ない・・・ものを・・・持つ
       お前・・・が。

アネル:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

オーガスト:・・・この・・・大会に・・・出た・・・のも、
       お前を・・・つぶせたら・・・の一心・・・だった。
       でも・・・そう・・・じゃなか・・・った。

アネル:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

オーガスト:お前と・・・戦って・・・、分かっち・・・まった。
       あたし・・・が、本当に・・・欲し・・・かったのは、
       本気で・・・気持ちを・・・ぶつけ・・・られる
       相手・・・だって。

ナコルル:オーガストさん・・・。

オーガスト:誰・・・からも・・・相手されず・・・、
       蔑・・・まれた・・・あたしに、
       あんたは・・・、まっすぐ・・・ぶつかってきた。
       それが・・・、どんなに・・・心地良かった・・・か。

アネル:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

オーガスト:・・・なあ、アネル。
       ・・・あたしは・・・、少しは・・・あんたの・・・
       記憶に・・・残れた・・・かい?

アネル:・・・当たり前だ。
     貴様みたいに、ひねくれた横暴なサディスト、
     忘れたくても、忘れるものか・・・。

オーガスト:・・・そう・・・か。

満足そうな笑みを浮かべるオーガスト。

アネル:・・・馬鹿だ、お前は。
     もっと、もっと別に、やりようはあったはずだ。
     こんな方法を取らなくても、道はあったはずなんだ!
     本当に・・・私同様・・・、不器用だな、お前は。

オーガスト:そう・・・かもな。

アネル:・・・確かに、私達は、紛い物かもしれない。
     でも、今、感じているこの気持ちは、
     誰のものでもない、私達だけのものだ。
     空っぽだからこそ、何もないからこそ、
     好きなもので満たし、なんにでもなれるんだ。

オーガスト:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

アネル:・・・お前の今までの人生は、最悪だったかもしれない。
     だけど、これから先、全てがそうだとは限らない。
     なかには、お前を好いてくれる変わり者だって
     一人くらいはいるだろう・・・。
     リアフィーユみたいにな・・・。

オーガスト:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

アネル:・・・あいつは、ずっと、お前を信じ続けた。
     他の誰もが、お前を疑った時でさえ、
     あいつだけは、信じ続けた・・・!

オーガスト:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

アネル:・・・私が変われたんだ。
     お前だって出来るだろう・・・。
     私とここまで、【互角】に渡り合えるお前なら。

オーガスト:互角・・・か。
       そう・・・だな。


すっ・・・。


ブウゥ・・・ンン!!


オーガストが手をかざすと、空間に魔方陣が浮かび上がる。

アネル:!?

ナコルル:これは・・・?

オーガスト:・・・いけよ、アネル。
       長くは・・・もたない。
       リアフィーユ達を・・・助けて・・・やれ。

ナコルル:オーガストさん・・・。

オーガスト:・・・リアフィーユには・・・、
       謝って・・・おいて・・・くれ。

アネル:・・・それは、お前の口から伝えろ、オーガスト。

オーガスト:・・・・・・・・・・・・。
      ・・・手厳しいな。

アネル:・・・あたりまえだ。
     ・・・お前が犯した過ちを償うまで、死ぬ事は許さない。
     ・・・それにお前との勝負、まだ決着はついていない。
     今回の勝負、【引き分け】だからな・・・。

オーガスト:・・・引き分け・・・か。

アネル:・・・ああ、そうだ。
     だから、決着をつけるまで死ぬんじゃないぞ・・・、
     オーガスト。
     ドクター・・・、後を頼む・・・。

Dr.T:分かった・・・。

そう言い残し、アネルは魔方陣へと踏み出す。

アネル:・・・いこう、みんな。

ナコルル:はい・・・。
      オーガストさん・・・、ありがとう!

アネル達の姿は光に包まれ、消えていくのだった・・・。

to be continued・・・
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つづら杯決勝戦~決戦編その1~

こんにちは、管理人のつづらです。

いよいよ、本性を現したゾディアックコピー!!

その驚異的な力を前に、アネルは、ナコルルは、
どう立ち向かうのか・・・?

驚天動地の最終章、いよいよ、開始です!!!



【崩壊した大会会場】


ブゥゥゥ・・・・・・・・・ンンンン!!!!


アネル:!?

ナコルル:きゃあああ!!!

辺り一面に広がる強大な闘気。

その中心に姿を現したのは、異形ともいえる存在へと
姿を変えたゾディアックコピーだった。

mugen00919.png

この世の殺意、狂気全てをその身にまとったような
悪意の固まりを目の当りにし、ナコルル達は戦慄する・・・!!

ナコルル:あ・・・、ああ・・・!

アネル:・・・くっ、化け物め。

???:・・・くくく、体中に漲るこの『力』。
    素晴らしい・・・。 素晴らしいぞ・・・!!
    さすが無限の力の象徴。

アネル:くっ・・・!!

???:・・・?
     そういえば、まだ、名乗っていなかったな。
     我が名は・・・『カオス』。
     破壊と混沌を司る者なり。

アネル:カオス・・・!?

ナコルル:破壊と混沌を・・・司る?
      まさか・・・あなたは・・・!?

カオス:くくく・・・、お前には、『アンブロジァ』と
     名乗った方が分かりやすいか?
     そう・・・、私こそが暗黒の化身、
     破壊神カオスだ。

ナコルル:!!

アネル:・・・貴様、何が狙いだ!?

カオス:目的・・・?
     ・・・くく、知れた事、この世の全ての生命を
     刈取り、この世界を破壊し尽くす事こそが、
     我が至上の喜び!!

カオスの目が狂気に染まる。

アネル:そんな事・・・させる訳がないだろう!

カオス:ふふ、弱者風情が私に立てつくか・・・?
     ・・・面白い、少々、遊んでやろう。
     こい・・・、脆弱なる虫けらよ。

ナコルル:アネルさん!
      ・・・私も、戦います!

アネル:ナコルル・・・!?

ナコルル:・・・あれは、絶対に解き放ってはいけない存在。
      もし、解き放たれれば、この世は終わりです。
      世界を・・・大自然を守るため、私は・・・戦います。
      だから・・・!

アネル:分かった・・・。
     力を貸してくれ、ナコルル!

ナコルル:はい・・・っ!!

カオス:くく・・・、面白い。
     何匹集まろうが、虫は、所詮、虫よ・・・。
     まとめて相手してやろう・・・!

対峙する両者。

二人:はああああ~~~~~!!!!!

カオス:かあああああ~~~~~!!!!

気合が交錯し、両者の間合いが、一気に詰まる!!

mugen00920.png

アネル:はああああ!!!

ナコルル:やああああ~~~!!!

気合とともに、攻撃を繰り出すアネルとナコルル。
しかし、その攻撃は、カオスに届かない。

カオス:くくく・・・、どうした?
    お前達の力はこの程度か?
    遅い・・・遅すぎる・・・。
    それ・・・!

カオスが腕を一閃すると、その斬撃が血の赤に染まる!

アネル:くっ・・・!!

速く、重い一撃が、アネル達を襲う。
さらに加速する攻撃。

カオス:くははは!
    どうした、私を止めるのではなかったのか?
    そら、そら、そら!

mugen00921.png

じょじょに削られていく体力・・・。

ナコルル:このままでは・・・!
      私が・・・突破口を作ります!
      お願い、ママハハ!!

ナコルルの掛け声とともに、ママハハが光に包まれ、
カオスに向かって突進する!

それに合わせるように、アネルがカオスの背後へと
瞬時に移動する!

アネル:はあああああ!!!

気合とともに、アネルは足から炎を放つ。

mugen00922.png

カオス:ほう・・・、なかなかいい連携だな。
    だが・・・、別れたのは愚策だったな!

カオスの目が怪しく煌く。

カオス:くらえ! 『絶爪乱舞』!!

ナコルル:きゃああああああああ!!!!!

アネル:ナコルル!!

カオスの凶刃が、ナコルルを幾重にも切り刻む。

mugen00923.png

アネル:貴様ああああああ~~~~!!!!!

ナコルルに駆け寄ろうとするアネルをカオスが遮る。

カオス:くくく、隙だらけだぞ・・・。
    この程度か・・・、お前達の力とやらは・・・?
    ぬるい・・・、ぬるい・・・ぬるすぎる!!
    ・・・余興は、ここまでだ。
    見せてやろう・・・神の雷を・・・!!

カオスの咆哮とともに、空に雷雲が巻き起こり、
一瞬にして、無数の雷がアネル達に襲いかかった!

ガカアア・・・・・・・・・・・・ッ!!!!

アネル:うああああああ~~~~~!!!!!

ナコルル:きゃあああああああ!!!!

辺り一面に広がる衝撃と怒号。
倒れ伏すアネルとナコルル。

カオス:くく、ふはは・・・、はははははは!!!
    脆弱、脆弱、脆弱ぅ~~~~!!!!!
    もろい・・・、もろすぎる。
    貴様らに、もう興味はない・・・。
    塵と化せ・・・。 む・・・?

倒れる二人を庇うように、立ちはだかるゾディアック。

カオス:ほう・・・、その傷でまだ動けるか・・・?
    面白い・・・、実に面白いぞ・・・。
    ゾディアック・・・!

ゾディアック:この二人は、やらせぬ!
        この命に代えても・・・!

カオスを睨みつけるゾディアック。

カオス:ふ・・・、まあいい。
    余興の時間は終わった。
    ・・・今は、残りの『宝珠』を手に入れるのが先だ。
    そこで、滅びまでの時間を楽しむがいい。

アネル:う・・・、ま、待て・・・!

ナコルル:い・・・、行かせません・・・!

硝煙を上げながら、なんとか立ち上がろうとする二人。

カオス:ほう・・・、まだ息があるか?
    くく、よい、よいぞ・・・。
    絶望する者は、多いに越した事はない。
    お前達の仲間・・・リアフィーユとリムルルといったか?
    あの二人の力も、もうすぐ私の物になる。
    絶望の中、大切な者が消えゆく様をみせてやろう・・・!

アネル:!?

ナコルル:ま、まさか・・・!?

カオス:くく・・・、気付いていなかったのか?
    そう・・・、あの二人こそが、残る『宝珠』の持ち主だ!!
    もっとも、今の今まで、結界に阻まれ、
    手に入れる事さえ、叶わなかったがな・・・!

倒れるオーガストを睨みつけるカオス。

カオス:・・・私と契約を結びながら、そいつはずっと、
    私の力が及ばぬよう、あの二人に結界を張っていた。
    何のつもりか知らぬが、こいつの命が消えゆく今、
    その結界も、じきに消える・・・!

アネル:!?

ナコルル:オーガストさん・・・。

カオス:・・・くく、長話が過ぎたな。
    もはや、貴様達に、私を止める手立てなどない。
    己の無力を感じながら、絶望に打ちひしがられるがいい・・・!
    かああああ!!!!

天高く飛び上がり、魔方陣を出現させるカオス。

ゾディアック:行かせるかっ・・・!!!

カオスに向か合って、衝撃波を放つゾディアック。
しかし、それは届く間もなく、カオスの障壁にかき消される。

カオス:くははは・・・!
    もうすぐ・・・全てが我が手中に・・・!!
    絶望の中、この世の全てを無に帰してやろうぞ・・・!!
    楽しみに待つがいい!!
    はははははは!!!!

笑い声とともに、カオスは次元の彼方へ消えていった・・・。

to be continued・・・
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つづら杯決勝戦~覚醒編その8~

こんにちは、管理人のつづらです。
今回は、ひさびさのつづら杯のお話です。

・・・プライベートのごたごたで、だいぶ間が空いて
しまいましたが、なんとか完走したいと思いますので、
長い目で見守って下さい。><;

長きに渡ったオーガストとの死闘は、アネルの勝利で
一応の幕を下ろした・・・。

辺りが静寂に包まれる中、新たに訪れる災厄とは・・・?



【崩壊した大会会場】

シュウウウウ・・・・・・・・・。

静寂に包まれる会場。

時空をも歪める強力な力場を形成していたアネルの奥義は、
最後の嘶きを残し消え、辺りは再び、崩壊した闘技場へと
姿を変えた。

アネル:・・・うっ・・・・・・!

アネルが、小さな呻きを発し、膝をつく。

強大な力の反動で、全身を激しい痛みが襲う。

己の身体を媒体に、オロチの力の一部を具現化する禁術。


『ハイ・ラグナレグ・エンブリオ』


限定的な解除とはいえ、その代償はあまりにも大きかった。

ナコルル:アネルさん・・・!!

倒れこむアネルに駆け寄ろうとするナコルル。

ゾディアック:!? 待て、ナコルル!!
        ぐっ・・・!!

制止するゾディアックとナコルルに突如襲い掛かる
強烈なプレッシャー!!

ナコルル:きゃあああ・・・・・・っ!!


ブゥ・・・・・・・・・ン・・・・・・・・・ッ・・・!!!


mugen00913.png


アネル:!?

ゾディアック:ナコルル!! くっ、貴様は・・・!

ゾディアックすら反応出来ぬ刹那。
そこには、ナコルルを背後から捕えるゾディアックコピーの姿が
あった!!

ゾディアックコピー:・・・・・・・・・・・・・・・。

身構えるゾディアック。

その動きを制するかの如く、ナコルルの首筋に突きつけられる
手刀。

ナコルル:くっ・・・。

ゾディアックコピー:ブブ・・・ブ・・・、動・・・クナ。
            少シ・・・デモ、妙ナ・・・動キ・・・ヲスレバ、
            コイツヲ・・・、引キ裂ク・・・!

ゾディアック:くっ・・・、外道が・・・っ!!

ゾディアックコピー:・・・・・・クハ・・・ハ!!
            ・・・ココ・・・チ・・・良イナ、ソノ・・・感情・・・ハ。
            ソレ・・・ッ!

ザシュッ・・・・・・!!

ゾディアック:くっ・・・!

放たれた斬撃がゾディアックの両太腿を抉る!

膝をつくゾディアック。

ナコルル:ゾディアックさん!!!
      は、離してっ・・・・・・!! くはっ・・・。

拘束を解こうと、身体を捻るナコルルの細首を
ゾディアックコピーが締め上げる。

アネル:や・・・、やめろ! ナコルルを離せ・・・!!

ゾディアックコピー:・・・動ク・・・ナ。
            動ケバ・・・コロス・・・。

アネル:・・・貴様、何が望みだ?

ゾディアックコピー:ブブブ・・・ブ。

ゾディアックコピーの目が、怪しく歪む。

ゾディアックコピー:契約・・・ノ・・・遂行。

アネル:契・・・約・・・!?

パチン・・・!

アネルの言葉を遮る様に、ゾディアックコピーが指を鳴らす。

瓦礫の中から、無言で起き上がるオーガスト。

アネル:!?

オーガスト:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ゾディアックコピー:・・・サア、オマエノ・・・望ミヲ・・・果タセ、
            オーガスト。
            コイツノ・・・息ノ根・・・、
            見事・・・止メテ・・・見セロ!!!

ナコルル:!? 駄目っ!!

ずる、ずるっと、無言でアネルに近づくオーガスト。

アネル:オーガスト・・・。

オーガスト:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

すっ。

オーガストの手刀が、アネルに狙いを定める。

ナコルル:駄目、オーガストさん!!
      やめて~~!!!




『結界生成【ルームデバイス】』・・・・・・っ!!!




ブ・・・・・・ンン・・・・・・・・・ッ!


ズバァ・・・・・・ッ!!!


ゾディアックコピー:グアアアア~~~~!!!

ぼとっ・・・。

ゾディアックコピーの片手が切断される。

アネル:!?

ナコルル:!?

ゾディアックコピー:グァ・・・ア! キッ、貴様・・・、
            ドウ・・・イウ・・・ツモリダッ・・・・・・!!

オーガスト:・・・はあ、はあ、それは・・・こっちの・・・台詞だ。
       余計な・・・真似を・・・するんじゃ・・・、ない・・・よ。
       奴・・・との、決着・・・は、私・・・自身で・・・つける!!

満身創痍のまま、言い放つオーガスト。

アネル:オーガスト・・・。

ナコルル:オーガストさん・・・。

ゾディアックコピー:・・・貴様、契約遂行ノ機会ヲ
            ムザムザ・・・捨テル気カ・・・!?

オーガスト:・・・契約? そんなの・・・、知った・・・事か・・・。
       あたしは・・・、あたしの・・・やりたいように・・・やる。
       お前との・・・約束なんて・・・、知るか・・・木偶。

ゾディアックコピー:・・・貴様。

オーガスト:馬鹿・・・だねぇ・・・。 鵜呑みにするとか・・・。
       あたしの・・・言葉に・・・、『本当』・・・なんて・・・、
       ないんだよ・・・。 木偶は・・・木偶らしく・・・、
       言われた・・・事だけやってろよ・・・!

ゾディアックコピー:・・・・・・・・・・・・・・・ッ!!

表情をゆがめるゾディアックコピー。

ゾディアックコピーを一瞥すると、再びオーガストは、
アネルへと視線を向ける。

オーガスト:・・・はあ・・・、はあ・・・。 ・・・立て、アネル!
       これが・・・最後の・・・。 が・・・はっ・・・!!


ドシュッ・・・!!!!


アネル:!?

ナコルル:オーガストさん・・・っ!!

再び、構えを取ろうとしたオーガストが突如、吐血する。



背後より貫かれる胸。



崩れ落ちるオーガスト。

ゾディアックコピー:・・・ク・・・クククッ、馬鹿ナ奴だ・・・。
            私ヲ・・・、操っテいるとデモ思っテいたノか・・・?
            あいにくだガ・・・、貴様を利用しテいたのは、
            この・・・私だっ!!

ゾディアックコピーの目が怪しく光る!!


ブォォ・・・ンン・・・!!!!


一気に解き放たれる闘気。


その手には、鈍い光を放つ漆黒の宝珠が手にしてあった。

アネル:なんだ・・・あれは・・・!?

ナコルル:あれは・・・、『黒の魂鍵』!?
      そんな・・・、なぜここに?

アネル:知っているのか・・・? ナコルル?

ナコルル:・・・はい。 あれは『黒の魂鍵』(ダークスフィア)。
      この世に4つ存在するとされる宝珠の一つです。
      全て集めれば、無限の力を手に入れられるという
      神秘の宝珠です。 ・・・でもあれは、世界の均衡を
      崩すものとされ、遠い昔、封じられたはずです。

アネル:そんなものが・・・なぜここに?

ゾディアックコピー:くくっ・・・、よく知っているな、小娘。
            そう、これはその宝珠の一つ『黒の魂鍵』。
            本来なら、この世の者が手に取る事など、
            出来ぬ代物。 だが稀に、その宝珠と
            呼応する者が現れる。

ナコルル:!? まさか・・・!!

ゾディアックコピー:くくくっ・・・、そうだ。
            こいつが、その呼応者『魂持つ者』。
            呼応者の魂が【希望】から【絶望】に変わる時、
            宝珠は、その姿を現す。

アネル:!!

ゾディアックコピー:・・・気づいたようだな。
            くく、その通り、こいつが、このオーガストこそが、
            その『呼応者』だったという訳だ。
            心地よかったぞ、こいつが絶望の底に落ちていく
            様は・・・!

アネル:・・・その為に、オーガストを利用したという事か。

アネルの拳に力が入る・・・。

ゾディアックコピー:・・・なんだ? 怒ったのか?
            何を同情する必要がある・・・?
            こいつは、貴様の仲間を傷つけた憎むべき
            『敵』だぞ? ゴミクズのように息絶えようと、
            喜ぶべき事ではないか?

アネル:・・・ああ、たしかにそいつは、許されざる事をした。
     そいつのした事を私は許さない・・・。
     でもな・・・、この戦いに関しては、まっすぐだった。
     そいつは、正々堂々、真正面からぶつかってきたんだ。
     ・・・誰であろうと、その想いを踏みにじっていい奴なんか
     いない!!

アネルの全身に力がこみ上げる。

ゾディアックコピー:・・・つくづく、人というものは理解出来ぬな。
            憎んでいた者に同情し、怒る・・・。
            不完全で、不安定な・・・、脆弱な存在よ。
            まあいい。 見せてやろう・・・私の『真』の
            姿を・・・!! 『宝珠』よ! 我に力を!!!

ゾディアックコピーの瞳が怪しく煌く。

手に持った宝珠を高々と掲げる。
宝珠は輝きを増し、ゾディアックコピーを包み込んだ。

to be continued・・・
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つづら杯決勝戦~覚醒編その7~

こんにちは、管理人のつづらです。

熾烈を極める、アネルとオーガストの死闘!!
持てる力の全てをこの戦いへと注ぐ。

はたして、勝つのは、アネルか、オーガストか・・・?

死闘の先の結末とは・・・!?



【大会会場】

戦いは、熾烈を極めていた・・・。

今まで、圧倒的に戦いを制してきたアネルだったが、
オーガストの奥の手、結界生成【ルームデバイス】によって、
状況は、一変してしまった。

先手を取ったはずの攻撃が、全て、後手後手に
回ってしまい、そのことごとくがオーガストのカウンターの
餌食となってしまったのである。

アネル:くっ・・・!

オーガスト:・・・はぁ・・・はぁ・・・!
       ・・・さ、さっきまでの余裕は、どう・・・したんだい、
       アネル・・・! こんな・・・もので、終わりかい・・・?

アネル:・・・・・・・・・まだだっ・・・!

アネルの動きが、加速する。
前後、左右、上下のゆさぶりが、フェイントを伴い、オーガストに
襲い掛かる。

常人のそれを上回る疾風の如き動きで、瞬時にオーガストの
背後を取る。

アネル:はあっ・・・!!

オーガストの頭に打ちおろされる必殺のかかと落とし!

・・・がっ。

オーガスト:・・・甘いよ!

ブ・・・ンンッ・・・!!

アネルの一撃が打ち下ろされる刹那、オーガストの結界生成が
発動する。

ズンッ・・・!!!

アネル:が・・・はっ・・・!

アネルの脇腹に、オーガストの回し蹴りがめり込む。

ザザ~~~~!!

激しい衝撃とともに、アネルが後方に吹き飛ぶ。

アネル:くっ・・・!

アバラがきしむ・・・。

オーガスト:はあ・・・はあ・・・! 言ったろう・・・、
       この・・・結界生成【ルームデバイス】の前では、
       全ての・・・攻撃は、無意味だって・・・!

肩で息をしながら、オーガストが嘯く。

ナコルル:アネルさん・・・!

ナコルルが悲鳴を上げる。
対処不能の事態を目の当たりにし、顔が青ざめる。

ゾディアック:・・・よもや、これほどとはな・・・。
        時を止める・・・、厄介な技だ。
        しかし、それ以上に、アネルのあの動きを察知し、
        当たる寸前に対処するオーガストの勘よ・・・。
        あの強固な攻防一体の技を崩すのは、
        骨が折れるぞ・・・。 アネル、どうする・・・?

冷静に戦いを分析するゾディアック。

アネル:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

すっ・・・。

しばらく、片膝をついていたアネルが静かに立ち上がる。
長く息を吐き、呼吸を整える。

アネル:・・・やるな。 ここまでの底力を持っていたとは、
     正直、見直したぞ・・・、オーガスト。

オーガスト:なにを・・・今更・・・!
       言っただろう・・・、この瞬間に・・・、
       全てをかけると・・・!!

アネル:・・・ああ、だから、私も本気で行く・・・。
     ここから先は、出し惜しみなしだ・・・。

オーガスト:な・・・に・・・!?

mugen00874.png

アネル:はああ・・・・・!!!

アネルの右手に炎が宿る・・・!
それと同時に、全身に闘気が満ちていく。

mugen00875.png

アネル:はあ・・・・っ!!!

ズ・・・オ・・・ッ!!

気合とともに、アネルが右手を払うと、
体内の闘気が一気に膨れ上がり弾ぜた!!

オーガスト:なっ・・・、こ・・・この・・・膨大な気は・・・!?

先ほどまでとは、比べものにならない巨大な闘気の
直撃を受け、オーガストは驚愕する・・・。

オーガスト:くっ・・・、だ、だけど、負けられない・・・!
       あたしは・・・あんたに・・・!

身構えるオーガスト。

アネル:・・・いくぞ。 バースト【覚醒】!!

アネルの体が、地を蹴り、突進する。
身構えるオーガストの横をすり抜け、瞬時に反対側へと
回り込む。

返す踵で、地を蹴り、アネルは、さらに加速する。

アネル:(まだだ・・・、もっと、もっと速く・・・!!)

一速・・・、二速・・・。
ギヤが切り替わるように、アネルの動きは、徐々に
神速の域へと達する。

キィイ・・・ンン・・・!!

耳を裂く、強烈な音圧・・・。

オーガスト:くっ・・・!! いくら、あんたが・・・、
       速くったって・・・!! 時を止めれば・・・!
       結界生・・・、が・・・はっ・・・!?

時間を止めようとしたオーガストであったが、
突然吐血し、膝を吐く・・・。

ナコルル:!?

ブゥ・・・ンン・・・!!

神速へと達したアネルの体は、残像を伴い、
その移動の衝撃で、軌跡には炎が発生した。

炎は、まるで五芒星を描くが如く、オーガストの周囲を
取り囲み、同時にアネルの体は、5つに分身する!!

5方向からの同時攻撃・・・!!

カッ・・・!!!!

mugen00876.png

神速の蹴り上げが直撃し、空中へと打ち上げられる
オーガスト。

シュッ・・・!

間髪入れず、アネルが後を追い、飛び上がる!

mugen00877.png

ズドドドドドッ・・・・・・!
 
一撃・・・、二撃・・・、三撃・・・・!

アネルの見えない連撃が、身動き出来ぬオーガストを襲う。

オーガスト:が・・・はっ・・・!

さらに、天高く吹き飛ばされるオーガスト。

ブウ・・・ンン・・・ッ!!

アネルの体に、不思議な紋様が浮かび上がる。

mugen00878.png

ナコルル:この力は・・・!? アネルさん・・・、だめっ・・・!!

アネル:・・・【ハイ・ラグナレク・エンブリオ】・・・っ!!

オーガストの周りを無数の魔方陣が取り囲み、
時空が歪む・・・!!

ギャギギギギギィ・・・・・・・・・!!!

ブオ・・・ン・・・ン・・・ッ!!!!!

獣の咆哮とも取れる、異様な怪音を発しながら、
魔方陣は回転し、空間を抉る・・・!

ギャ・・・キィ・・・ ィ・・・ンン・・・・・・・・・!!!

一瞬、空間が圧縮されたかと思いきや、一気に爆ぜる。

オーガスト:うあ・・・ああああっ~~~~!!

眩い閃光とともに、オーガストの体は弾け飛んだ・・・!

to be continued・・・
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つづら杯決勝戦~覚醒編その6~

こんにちは、管理人のつづらです。

アネルの一撃を受け、沈黙するオーガスト。

全てが終わった・・・、そう思った瞬間、
ふたたび、不屈の闘志で立ち上がるオーガスト。

今、偽りなき、魂のぶつかり合いが始まる・・・!



【大会会場】

ドサッ・・・!

アネルの強烈な一撃を受け、崩れ落ちるオーガスト。
無言のまま、それを見つめるアネル。

アネル:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ブン・・・ッ。

炎を纏った刀を一振りし、残心の構えをとる。

ゾディアック:・・・終わったな。

決着の行方を見届けていたゾディアックが、つぶやく。

すでに、日も傾き始め、崩壊した会場にも、長い影を
落とし始めていた。

ナコルル:アネルさん・・・っ!

離れて、二人の戦いを見守っていたナコルルが、
アネルに駆け寄ってくる。

アネル:ナコルル・・・。

ナコルル:・・・お怪我は、ありませんか?

アネル:ああ・・・、私は大丈夫だ。

ナコルルの声に応えつつ、倒れたオーガストを
じっと見つめるアネル。

ナコルル:・・・かわいそうな人・・・でしたね。
      誰からも必要とされず、自分の居場所さえ
      見つけられず、孤独の闇にとらわれ続けた、
      悲しい人・・・。
      ただただ、周りを憎み、憎悪をぶつける事でしか、
      自分を保てなかったんですね・・・。

アネル:・・・こいつは、もう一人の私だ。
     私だって、ハガネやリアフィーユに出会っていなかったら、
     きっと・・・。

ナコルル:アネルさん・・・。

アネル:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ゾディアック:・・・アネルよ、感傷に浸っている場合ではない。
        今は一刻もはやく、リアフィーユや他の者達を
        助けなければ。 むっ・・・?

身構えるゾディアック。

その視線の先には、満身創痍の状態で、再び立ち上がる
オーガストの姿があった。

ナコルル:!?

アネル:・・・オーガスト。

オーガスト:・・・くっ、まだ・・・だ。 まだ・・・、
       私は・・・、終わっていない・・・!

よろよろと全身を振るわせ、アネルに向かって構えをとるオーガスト。

アネル:・・・よせ。 それ以上やれば、命を落とす事になるぞ・・・。

オーガスト:い・・・、命・・・?
       そ・・・、そんなもの、惜しくも・・・、
       なんともないん・・・だよ。
       かはっ・・・!

吐血し、膝を折るオーガスト。
全身からは、絶え間なく、血が滴り落ちる。

ナコルル:・・・やめて下さい!
      これ以上戦えば、あなたは・・・っ!

アネル:・・・何故、そこまで、この戦いにこだわる?
     お前にとって、世界は・・・、私は、
     それほどまでに憎むべき存在なのか?

オーガスト:・・・世界なんて、いまさら・・・どうだって・・・いい。
       私にとって・・・、今が・・・、【全て】なんだ・・・。
       ・・・今、・・・この時を逃したら、【次】なんて・・・、
       ないんだよ・・・。 ・・・構えろ、アネルっ・・・!!

鬼気迫る表情で、叫ぶオーガスト。

アネル:・・・分かった。

ナコルル:アネルさん・・・!?

再び、構えを取るアネル。
その目には、決意にも似た意思があった。

アネル:・・・一つだけ、約束しろ。
     この戦いの決着が付いたら、リアフィーユ達の
     居場所を教えると。

アネルの問いに、笑みを浮かべるオーガスト。

オーガスト:上・・・等・・・!

一瞬の間を置き、再び拳を繰り出すオーガスト。
瀕死とは思えぬ、気合の籠った突きではあったが、やはり、
蓄積されたダメージは大きく、アネルは、その拳をたやすくかわす。

オーガスト:くっ・・・!

ふらつきながらも、オーガストは、アネルに向かって、二撃、三撃・・・と
拳を繰り出し続けた・・・。

オーガスト:・・・どう・・・したっ!
       かわす・・・ばかりじゃ、
       私は・・・、倒せないよ・・・!

アネル:・・・・・・・・・・・・・・・。
     はぁっ!!

アネルの鋭い一撃が、オーガストのみぞおちへと食い込む。

オーガスト:ぐっ・・・、まだ・・・だっ!

激しい痛みに耐えながら、踏み込み、足刀蹴りを繰り出すオーガスト。
・・・が、瞬時に見切ったアネルの肘打ちが腹部へ直撃する。

オーガスト:が・・・はっ!

気迫で、なんとか攻撃を繰り出すも、体力の差は歴然。
戦いは、次第に一方的なものへと変わっていった・・・。

ナコルル:あ・・・、あ・・・、もう、もうやめて下さい!!
      それ以上やったら・・・、オーガストさんはっ・・・!!

止めようとするナコルルをゾディアックが制止する。

ナコルル:!? ゾディアックさん・・・?

ゾディアック:・・・無駄だ。 奴が立ち上がり、闘う意思を見せる限り、
        アネルは、何度でも奴を打ち倒すだろう・・・。
        本気でな・・・。

ナコルル:そんな・・・!? 何故、何故そこまで・・・っ!

涙をにじませ、抗議するナコルル。

ゾディアック:・・・それが、アネルの闘う者としての決意。
        命を賭して向かってくる相手への敬意だからだ。

ナコルル:・・・・・・っ!

それ以上、ナコルルは何も言えなかった。

オーガスト:ぐ・・・はっ・・・!

すでに、何度倒れたか分からない。
それでも、オーガストは、立ち上がり続けた・・・。

朦朧とした意識の中、オーガストの脳裏によぎる過去の記憶。



誰も訪れる事のない暗い部屋。
話しかける者も、興味を抱く者もいない、
永遠ともいえる鳥籠・・・。

生きる意味さえ見つけられなかった・・・。
己の存在する理由さえ見つけられなかった・・・。

ワタシハ・・・、ドウシテ・・・ココニイル・・・?

ダレカ・・・、ワタシヲ・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・永遠とも思える時間の中、偶然にも知った、
もう一人の存在・・・【アネル】。

自分と同じ、姿・形・・・【魂】・・・の情報を持ちながら、
自分にはないものを全て持っている存在。

相手を知れば知るほど、自分の存在が、ちっぽけで
みじめなものに見えた・・・。

ナゼ・・・、アイツハ・・・、ワタシト・・・、チガウンダロウ・・・。

ワタシハ・・・、ワタシハ・・・。

次第に広がる黒い感情・・・。
それはいつしか、オーガストの中で、増大し、捻じれ、
何かを壊した・・・。

ハハ・・・、ソウサ・・・。

ミンナ・・・、ミンナ・・・、コワシテシマエバ・・・イイ!

ソウスレバ・・・!!




そう・・・、【壊せ】れば、それでよかった・・・。

その・・・はずだったのに・・・。



ガッ・・・!!!

激しい痛みが、オーガストの意識を現実に戻す。

そうだ、今・・・、私は、【あいつ】と死闘っている・・・!!

たった一つの【目的】としていた、その存在は、今、
【自分】だけを認識し、命をかけた【本気】の拳を
ぶつけている・・・っ!!

ただ、それだけで、十分だった・・・。

オーガスト:くっ・・・、は、はは・・・。
       今の・・・私・・・じゃ、追いつけ・・・ないか。
       さすが・・・、だね・・・。

アネル:・・・・・・・・・・・・・・・。

オーガスト:・・・確かに・・・今の・・・お前は、・・・強い。
       認めて・・・やるよ。 だけど・・・ねっ!




結界生成【ルームデバイス】・・・っ!!





mugen00871.png




ブ・・・ン・・・ッ!!




アネル:な・・・、な・・・にっ!?




制止する世界【フリージング・ワールド】。




オーガストの動きに合わせ、カウンターを見舞おうとしたアネルの
動きが突如、制止する!

いや・・・、アネルだけではない。
存在する全てのものの動きが停止していた。
ただ、一人を除いては・・・!!

オーガスト:はは・・・、さすがの・・・お前も、う・・・、動け・・・
       ないだろう・・・? これが・・・、私の・・・奥の手さ・・・!!
       全ての・・・動きを・・・、止める秘奥義。
       制止する世界【フリージング・ワールド】。
       もっとも・・・、今の私じゃ・・・、そう長くは止めて
       いられない・・・けどね。

ふらつきながら、拳を構えるオーガスト。

オーガスト:でも・・・、お前を・・・とらえるなら、
       これで、十分・・・さ! はぁ・・・っ!!

mugen00872.png

ミシ・・・ッ!

アネルに響く、鈍い音。


ブ・・・ン・・・ッ。


技が解除されると同時に、アネルの身体を強い衝撃が襲う。

アネル:が・・・はっ!

ゾディアック:!?

ナコルル:アネルさん・・・!?

突如、吹き飛ばされたアネルの姿に、驚愕するナコルルとゾディアック。

一体、何が起こったのか、誰一人、認識する事さえ出来なかった。

アネル:くっ・・・。 一体・・・これは!?

脇腹がズキンと痛む。
今の攻撃で、何本かのアバラに、ヒビが入っていた。

オーガスト:はは・・・、避け・・・られ・・・ないだろう?
       いくら・・・、お前が・・・速かろうが、
       動きさえ・・・止めてしまえば、造作・・・ないよ。

肩で息をしながら、オーガストが嘯く。

ゾディアック:!! ・・・そういう事であったか。

ナコルル:ゾディアックさん・・・?

何かを察したゾディアックに顔を向けるナコルル。

ゾディアック:・・・今まで有利に事を進めていたアネルの動きが
        突然鈍り、奴の攻撃を受けた事も合点がいった。
        奴は、相手の動きを一瞬とはいえ、止める事が
        可能なのだ。 しかも、それは動きだけではない。
        周辺の時間さえ、同時に停止させる事が出来る。
        文字通り、すべての攻撃、衝撃、威力さえな。

ナコルル:そんな・・・!?

ゾディアック:・・・時間にして、おそらく数秒。
        しかし、その停止した状態で、奴だけは、自由に
        行動が可能なのだ。 なすすべなく、アネルが
        攻撃を受けたのもそのせいだろう・・・。
        いくら瀕死の状態とはいえ、相手が停止していれば、
        攻撃を当てる事はたやすい。 よもや、このような
        奥の手を隠し持っていたとは・・・。

ナコルル:時を止める・・・!? そんな・・・、それでは、
      アネルさんは、どうやって戦えばいいのですか・・・!

ゾディアック:・・・今は、アネルの底力を信じるしかない。

ナコルル:アネルさん・・・。

to be continued・・・
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| mugen(大会・etc) | 23:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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